税理士の経営・財産・相続トピックスVol.084「伝家の宝刀、法人税法 132条」
伝家の宝刀、法人税法 132条
日本経営ウイル税理士法人
代表社員税理士 丹羽修二
税法には伝家の宝刀と言われる条文があります。法人税法 132条。
これは「同族会社の行為又は計算の否認」です。
実務の現場でもしばしば問題になり、裁判で争われることもあります。
条文の本文
「税務署長は次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準額若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。」
この条文については、税理士の実務家、大学の研究者、納税者、そして国税側においてもその法律のあり方が研究され侃々諤々と議論されてきています。
国内に限らず海外との取引も、法律の枠であるか否かに関わらず必ず問題になります。
この規定は同族会社、いわゆるオーナー会社に適用されます。
わかりやすい表現としては、不当に税金を減らすためだけに行った行為と計算は否認されるという「租税回避行為」と「税負担の不当減少」に関する規定です。
では「租税回避行為」「税負担の不当減少」の定義は?どんなことが該当するのか?
それらは全て個別に判断されます。
実質的な経済的合理性、そして社会通念上許される正当理由ないし事業目的の存在が重要です。
特に近年は、国際間取引におけるタックスプランニングが積極的に行われており、課税当局と揉める事案が劇的に増えています。
法人において内部留保を高めていくことは、将来世代への事業発展への大きな財産となり、世代を超えた個人の継続的財産形成は、オーナー一族の安定化となり事業を支えます。
法人でも個人でも、計画的・継続的な資産対応は内部留保を増やします。
事業承継と世代交代が進み、将来への積極的な節税計画はさらに重要性をおびてくるでしょう。
しかし、その中でも税法の「伝家の宝刀」がある事はお忘れなく。
2020年9月8日
日本経営ウイル税理士法人
代表社員税理士 丹羽修二
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